「生成AI、気になるけどなんだか難しそう」
「進化が早すぎてついていけない」
「なんとなく触ったことはあるけど、もっと使えるようになって業務効率化したい」
このように感じている方も多いのではないでしょうか?
OpenAI社が2022年11月に公開した生成AI「ChatGPT」は、公開からわずか2か月で1億ユーザーを達成するほど、急速に普及しました。さまざまな業界で革命をもたらしている生成AIですが、オンライン秘書にとっても心強い味方になる可能性を秘めています。
この記事では、生成AIの基本から、オンライン秘書としての具体的な活用方法や注意点について解説します。
※本記事で紹介しているツールの情報は2024年7月時点のものです。
生成AIとは?
生成AIとは、インターネット上にある大量のデータから学習して、そのパターンを基に文章、画像、動画、音楽など、幅広く生成する人工知能の一種です。
生成AIの特徴は、ユーザーが入力する指示文(プロンプト)に応じて、文脈を理解した回答や、私たちが思いつかないようなアイデア、さらには表やグラフ、コードなどを生成できることです。
ただし、生成AIはユーザーの意図を完全に理解することはできないので、指示入力には工夫が必要です。たとえば、「レポートを書いて」という漠然とした指示ではなく、「800文字程度で、最新のAI技術がオンライン秘書に与える影響についてレポートを書いてください。具体的な事例を2つ以上含めてください」というように、具体的な指示を与えることが重要です。
代表的な生成AIツール
生成AIツールは、次々と新しいものが登場しています。今回は、オンライン秘書におすすめの代表的な対話型の生成AIツールを4つ紹介します。
ChatGPT
OpenAI社が開発したChatGPTは、2022年11月に公開されました。正式名称をChat Generative Pre-trained Trasnformer(文章生成モデル)といい、自然言語処理に優れた生成AIの一つです。自然な対話能力と幅広い知識から、瞬く間に世界中で利用者が増えました。
・無料プラン:GPT-3.5、GPT-4oへの限定アクセス(制限あり)
・有料プラン(ChatGPT Plus):月額20ドル。GPT-4、GPT-4oにアクセス
ChatGPTは会員登録しなくても利用できますが、会員登録をするとチャットの履歴を保存したりカスタマイズできたりして、より便利に使えるようになります。まずどのようなものか触ってみたい方は、会員登録なしで利用してから、会員登録や有料プランを検討してみるとよいでしょう。
Gemini
GeminiはGoogleが開発した生成AIで、以前のBardが2024年2月にGeminiに改称されました。Googleの強みでもある情報検索が得意で、Googleの検索エンジンと連携しています。
特徴的なのは、出力された回答を裏付ける情報がWebに存在しているか確認できる「回答を再確認」機能があることです。また、一つの質問に対して3つの回答を用意してくれるのも、他の生成AIにはない特徴です。
・無料版:Googleアカウントがあれば利用可能
・有料プラン(Gemini Advanced):月額2,900円。Google One AIプレミアムへの加入が必要。2TBのストレージ容量がセットになっている
Claude
Anthropic社が開発したClaudeは、2023年10月に日本でも公開されました。大量の文章を読み込める点や、人間らしい自然な文章を生成できる点が特徴です。
PDFファイルや文章量の多いレポートなども読み込めるため、リサーチや要点の要約などに向いています。また、プログラミングコードの生成能力も高いのが特徴です。
・無料プラン:Claude3 Sonnet
・有料プラン(ClaudePro):月額20ドル。Clauade3 Haiku、Claude3 Opusに対応。約15万文字の読み取りに対応
Perplexity
Perplexityは、PerplexityAI社が開発した日本語対応AI検索エンジンです。OpenAIのGPT、ClaudeとMicrosoftのBing検索エンジンを活用しているため、リアルタイムでインターネット上の情報を検索し、その結果を基に回答を作成できます。
回答の根拠となる出典元の情報も明記されているため、情報の確認をしやすいのが特徴です。情報収集やリサーチに向いています。
・無料プラン:1日5回まで有料プランのPerplexityProを利用可能
・有料プラン(Perpremity Pro):月額20ドル
※Softbankとの提携により、Softbank、ワイモバイル、LINEMOユーザーは有料プランの1年間無料トライアルが利用できます。
生成AIでできること
生成AIは幅広い場面で活用できます。大きく以下のように分けられます。
上記で紹介した4つのツールは、基本的には文章生成のAIで、無料版でもイラスト生成できるものもありますが、画像や映像、音声生成については、それぞれに特化した生成AIツールがあります。
テキスト生成
- 文章の作成・要約
- 情報検索
- 翻訳
- 議論のパートナーなど
ビジネス文書や報告書、プレゼンテーションの資料、ブログ記事、SNS投稿文、メールの下書きなどの文章作成から、長文の要約や要点の抽出、レポートの作成、翻訳までこなすことができます。
また、アイデア出しやブレーンストーミングなどの、壁打ち相手としても活用できます。たとえば、「新しく立ち上げる講座のアイデアを5つ提案してください。それぞれの特徴と想定されるターゲット層も説明してください」といった指示を出すことで、アイデア出しの補助として活用できます。
画像・映像生成
- 写真
- イラスト
- アニメーションなど
テキストによる指示だけで、さまざまな画像を生成したり、簡単な画像編集や加工を行ったりすることができます。プレゼン用の画像やSNS用の画像など、視覚的に魅力的なコンテンツを簡単に作成できます。
たとえば、「青空を背景に、白い雲と花がある風景のイラスト」という指示で簡単なイラストを生成することができます。
音声生成
- 音声
- 音楽
テキストを自然な音声に変換したり、オリジナルの音楽を作曲したりすることができます。
その他
- 3Dモデルの生成
- プログラミングコードの生成など
プログラミングのコード生成やバグ修正もしてくれます。
オンライン秘書としての生成AI活用方法
では、具体的にオンライン秘書業務にどのように生成AIを活用できるのか、いくつか例を挙げて説明します。
文書作成
一口に文書と言ってもその種類もさまざまです。それぞれ見ていきましょう。
議事録の作成
会議の音声データや簡単なメモを元に、議事録を自動生成することができます。最終的な確認や修正を行うことで、高品質な議事録を短時間で完成させることが可能です。
指示内容の例
会議メモをコピーアンドペーストするか、会議メモのファイルを取り込んで「会議メモを元に、1000文字程度の議事録を作成してください。会議の主要な決定事項、行動項目と担当者、次回の会議日程を含めてください」
メール文の自動作成
定期報告メールや会議招待メールなどの定型的なメールの作成や、受信メールの内容を分析させて、適切な返信を自動生成させることができます。
複雑な内容や言いにくいことを伝えなければならないメールを作成するのは時間がかかりますが、AIに下書きを作ってもらうことで、要点を押さえた文章が作成でき、メール作成の時短につながります。
指示内容の例
「クライアントへ納期遅延連絡メールを作成してください。遅延の理由と納品時期、お詫びの言葉と今後の対策も含めてください」
文章作成と編集
報告書やプレゼンテーション資料など、さまざまな文章の作成ができます。ブログ記事の作成や、SNSの投稿文作成などにも活用できます。
また、PDFや画像で提供されたデータを読み込ませてテキスト化させたり、テキストを表にまとめさせたり、これまで手作業で時間がかかっていた作業を代行してくれます。
指示内容の例
「このグラフのデータを元に、SNS投稿用の文章を作成してください。商品の魅力が伝わるように、完結にまとめたものを3パターン作成してください」
リサーチと情報収集
生成AIを使って、情報収集や市場調査を効率化できます。リサーチの指示を入力して関連情報を収集し、要約やレポートを作成させることができます。
指示内容の例
「関東のオンラインスクールで、売り上げを伸ばしているスクールを10社挙げ、その内容をそれぞれ完結にレポートにまとめてください」
タスク管理と優先順位づけ
日々のタスクリストを入力すると、締切や重要度を考慮して、最適な優先順位を提案してくれます。複数の参加者のスケジュールや優先度を考慮して、最適な会議日程を提案してもらうこともできます。
指示内容の例
「以下のタスクリストを重要度と期限を考慮して優先順位をつけてください。また、各タスクの予想所要時間も追加してください」
顧客対応とコミュニケーション
顧客からのよくある質問に対する回答を自動生成したり、カスタマーサポート用のFAQを作成したりすることができます。
指示内容の例
「よく聞かれそうな質問を20個と、それぞれの回答を丁寧でわかりやすいことばで説明してください」
データ分析と可視化
複雑なデータも、わかりやすいレポートにまとめてもらうことができます。データを最も効果的に表現するグラフの種類や作成方法を提案してもらうことも可能です。
データ入力の場合には、どのような表を作りたいか指示することで、エクセルやスプレッドシートの関数を教えてくれるので、わかりやすいデータを作ることができます。さらに、関数がエラーになった場合には、原因箇所を特定して修正の提案をしてくれるので重宝するでしょう。
指示内容の例
「この売り上げデータから、季節変動を分析してグラフで表現してください。また、売上増加に貢献した要因を3つ挙げ、その理由を説明してください」
生成AIを活用する際の注意点
生成AIはとても便利なツールですが、活用する際にはいくつかの重要な注意点があります。
順番に説明します。
情報の正確性と品質管理
AIが生成したものは常に正確とは限りません。出典を確認して、重要な情報は必ず自分で確認するようにしましょう。可能であれば、別の情報源と照らし合わせてみることをおすすめします。
AIが作成した内容は必ず自分で精査し、必要に応じて編集を加え、最終チェックをするようにしましょう。
情報漏えいの防止
個人情報や会社の機密情報を扱うときは最新の注意が必要です。利用するAIサービスの規約をしっかりと読み、どのような情報なら入力しても大丈夫か確認しておきましょう。
個人情報や会社の機密情報にあたるものは入力しないと、あらかじめ決めておくことが情報漏えいの防止につながります。
また、多くのAIサービスでは入力したデータをAIの学習に使わせないように設定することもできるので、その設定も確認しておきましょう
知的財産権の配慮
著作権で保護された内容をAIに入力する際は注意が必要です。他の人の作品をそのままAIに読み込ませてはいけません。また、AIが作成したコンテンツの著作権や使用権についてはサービスによって規定が異なるので、必ず規約を確認しておきましょう。
既存の作品や人物に酷似し生成された場合は、使用を控えるか、十分に編集を加えるようにしましょう。
使用者のモラル
AIを非倫理的な目的や違法行為に利用しないことは当然ですが、AIが偏見のある回答や不適切な内容を生成した場合、それを見逃さず使用しないようにすることも重要です。
AIの出力に対して「これは正しいかな?」「誰かを傷つけたり、不快にさせたりしないかな?」と常に考え、自分の判断力や倫理観を大切にしながら活用してください。
まとめ :生成AIを活用して業務効率化していこう
生成AIは、オンライン秘書の業務効率化につながるとても心強いツールです。しかし、その活用には正しい理解と適切な使用が不可欠です。
生成AIの活用にあたっては注意点を守り、あくまでツールであることを認識して、生成された内容を確認し必要に応じて編集や修正を行っていきましょう。
また、AIに頼りすぎず、自分のスキルと知識の向上に務めることも大切です。AIを効果的に活用するための指示文(プロンプト)作成スキルを磨くことも、今後重要なスキルの一つになってくるでしょう。
生成AIは日々進化しています。ぜひ、さまざまツールを試してみて、自分にとって最適な使い方を見つけてみてください。
生成AIの活用について、総務省のWebサイトにもわかりやすい特集ページがあります。興味のある方はそちらもご覧ください。
総務省 「生成AIはじめの一歩〜生成AIの入門的な使い方と注意点〜」